■史上最強の用務員



「い、いや、だから今日はコレだけしか……」


<とある学校の体育館裏……>


「何も言うな。」


<少年、○田○郎はいつものように不良に絡まれていた>


「声を聴くのも面倒だ。 お前が! さっさと金を出せば誰も傷つかずに済む。 みーんな、ハッピーになれるんだよ!」


<しかし、彼らは忘れていた。 この学校にはあの男がいた事を……>


「持ってないならどうする? パンチ一発100円、膝蹴り一発500円で50000円分清算するか? それとも……」


<ピンチのとき、彼は必ず現れる! その男は……>


「分かりました! 分かりましたぁ! それで勘弁してくださいぃ!」


<……あれ? 来ない? いつもなら今頃こいつら全員挽肉に……>


「いい心がけだ! 神様にお祈りしとけ! せめて少しでも早く気絶できるようにな!」


<そ、そんな…… 何で!? 何で来ないの!?>


「今日は気分がいい! いつもなら50000円分だが、今日は100000円分清算させてやる! 感謝しろ!」


<あ……あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!>






[学校の花壇]

「お疲れ様です。」

「あぁ、どうも。」

「……って校長? 何やってんですか。」

「…………」

「まったく……いつもの用務員さんはどこに……」

「……病院ですよ。」

「え? 嘘でしょう。」

「あぁ、私もそう思ったさ。
1970年 3月10日生、36歳。
21歳にして警察に入り、エリート街道を蹴って機動隊に入隊。
数々の騒動を鎮圧してもなお足らず、24歳でフランス軍外人部隊に入隊。
5年の任期を終えた後もフリーの傭兵として世界を飛び回り、数々の戦場で功績を残してきた殺しと戦闘のエキスパート。
昨年日本に帰国し、私がこの学校の用務員兼警備主任として雇った。
少なくても日本には敵はいない……」

「……」



「ところが先日、彼の痔が発覚した。 切れ痔だ。
時々新宿二丁目で彼の目撃情報があったのだが、これで全てが確信に変った。
以前から怪しいとは思っていたが、 そう、彼は……彼は……

……同性愛者だった。」

「彼は……Mだったんですね……」

「昨日病棟にお見舞いに行ったら彼の恋人たちに阻まれてね……もう少しで私も目覚めてしまうところだったよ。」


「史上最強の用務員も……肉の棍棒の前にはひれ伏すしかなかったんですね……」





End...ah-!