■悲劇


鼻が痛むぞ
鼻が痛むぞ




奴らなど死んでしまえばいいものを。


苦しみ続けて早一週間……

もはや俺の手元に救いは無い。




世界は俺を見捨てたかッ


春風に乗って俺を殺しにやって来る暗殺者 「奴ら」

奴らは俺を殺しに春風に乗ってやって来る 「暗殺者」

暗殺者は春風に乗って俺を殺しに      「やって来る」


発狂しちまいそうだ。


「あ、あのー……」



助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ



「バカ! 目を合わせるな! 殺されるぞ!」

「ひいっ!?」



待て、行くな、行くなあああぁぁぁぁぁァァァッ!



俺の鼻を助けてくれ! 頼む! 俺の鼻を! 助けて! くれ!




俺を「奴ら」に近づけるなあああぁぁぁぁァァァッ!


「あのー、、、どうかしましたk」


助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくれ助けてくr


……ハッ、息をしていない!?
いかん、首をきつく絞め過ぎたか?


こうなったら……人工呼吸だッ




……おい、何だあんたら、俺は今人助けと自分を助けるので精一杯なんだ……

何?警察? 俺が一体何を……

あっ



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「……花粉症が悪化してティッシュを買い込んだはいいが、

最近また寒くなってきたんでストーブを出したら使用済みのティッシュに引火してアパートが全焼。

それにより買い込んだ大量の新品のティッシュも灰となった……」


……


「で、怖くなって現場から逃げ出したら今度は花粉症が酷くなってティッシュ欲しさに通行人に助けを求め、

その段階で理性が利かなくなって通行人のOLの首を絞めた後、レイプ……」


……


「心配するな。 お前はもう花粉症に悩むことは無いだろう。 だって次会う時は塀の中だ。楽しみにしてろよ?」


あぁ、そうか……もう花粉に怯えなくてもいいのか……

だったら……もうなんでもいい







だが、俺が収容された刑務所の中庭に立派な杉の木があったと言う事実は俺にとって一連の事件を超える最大の悲劇だった



End